親の心ない言葉

Produced by : 小田原宣良(英語 昭27~59年)

「あのね、お母さんがね、お金ばもっとどっさいもって来なっせと云ってお父さんと喧嘩ばしなはっとヨ」

 ふとバスの中で耳にした三才位の女の子の話である。

 一体これは子供の心の鏡にはどのように映っているのだろうか。幼いと云って決して軽く考えてはならない。きっと心の眼には親の不仲を捉えていることであろう。そしてありふれたこの種の言葉であっても、子供の心には癒すことの出来ない深い傷を残すことであろうし、それが将来どんな形に展開していく事であろうかと思うとゾッとする。不憫なことである。